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●エキノコックスとは●
エキノコックスとは寄生虫の一種で、条虫類に分類されます。
エキノコックスの種類は現在数十種類確認されていますが、重要とされているのは単包状虫と多包状虫の2種類で、北海道で問題とされているのはこの多包状虫のエキノコックスで円葉類に分類されます。
エキノコックスの成長段階は3段階で虫卵・幼虫・成虫と成長していきます。
卵虫は直径0.03mmで乾燥や高温に弱く、北海道の環境で平均数ヶ月の寿命です。
70℃で5分、100℃で1分以内に死滅すると考えられています。
●条虫●
条虫とは
・雌雄同体
・1個の頭節と複数の片節からなるリボン状の片節連体構造を持つ
・円葉類と擬葉類に分類できる
・成虫は全て腸管内に寄生する
という特徴を持っていて、サナダムシなんかが有名です。
●単包状虫と多包状虫●
単包状虫は幼虫の段階(単包虫)で袋状の嚢包を形成します。組織破壊性は低いのですが袋が大きくなって破裂するとアナフィラキシーショック(アレルギー反応)を起こす事があります。
多包状虫は幼虫の段階(多包虫)で小さな袋状の嚢包の集合体を形成します。これは破れやすい為、内容物が周囲の組織に浸潤して転移しやすくなるのです。
●エキノコックスの成長●
幼虫は中間宿主となるネズミやヒト等で成長します。
経口摂取した虫卵が小腸で孵化し、幼虫に成長します。
そして肝臓や肺や脳に寄生し、エキノコックス症という強い病原性を引き起こします。
幼虫に汚染されたネズミ等を終宿主となるキツネや犬等が経口摂取すると成虫に成長し、小腸に寄生し虫卵を作り、糞に混じって排出され、周囲の環境を汚染します。
さらに虫卵に汚染された水や植物等を中間宿主が経口摂取してエキノコックスは繁殖していきます。
虫卵から幼虫に成長するのは中間宿主のみであり、幼虫から成虫に成長するのは終宿主のみです。
例えば、人間が幼虫に感染している動物を経口摂取してもエキノコックス症にはかかりません。
さらに、キツネが虫卵を経口摂取してもエキノコックスは成長しません。
●エキノコックス症(ヒトの場合)●
ヒトが虫卵に汚染された水や食べ物や埃等を経口摂取した場合のみ感染します。感染したヒトと親密な接触があっても感染しません。
多包虫病巣の進行は極めてゆっくりで、初期症状が現れるまで成人では通常10年以上を要すると言われています。子供は経過が早い傾向にあります。
・無症状期
成人で平均20年間程、多包虫に感染していても症状の出ない時期
・進行期不定症状期
上腹部の膨満感、不快感などの不定症状
・進行期完成期
肝臓機能不全になり、肝臓の肥大、腹痛、発熱、黄疸、貧血等の症状
・末期
通常6ヶ月以内で重度の肝臓機能不全になり、黄疸、腹水貯留、浮腫を合併。
肝臓以外の臓器(肺・脳・腹部臓器・骨髄等)にも多包虫が転移寄生。
●エキノコックス症の検査(ヒトの場合)●
ELISA法の血清診断、ウェスタンブロット法によるELISA法陽性反応、問診、腹部の触診、超音波診断、腹部X線撮影、超音波診断、CTスキャン、腹腔鏡検査、肝動脈造影等で早期発見が可能です。
北海道の保健所では血清診断をしてくれます。
北海道以外では症例が少ない為、他の疾病と診断されるケースがあります。
●エキノコックス症の治療(ヒトの場合)●
現在のところエキノコックス症に絶大な効能のある薬は開発されていません。
外科手術による多包虫の摘出が最も有効な手段とされています。
この際、多包虫は周囲の組織も汚染している為、周囲の健康な組織ごと摘出します。
駆虫薬のアルベンダゾールは寄生虫の発育を抑制する為、手術の補助として用いられます。
●エキノコックス症の検査(キツネの場合)●
最も信頼のおける検査方法として剖検が行われます。
しかし、剖検は特別の施設を必要とし、キツネ自体に負担のかかる方法です。
糞便検査で虫卵を検出する方法もありますが、他の条虫と区別するのが難しいとされています。
近年ようやく、虫卵のDNAによる鑑別法が確立されました。
北海道大学獣医学部の寄生虫学教室では現在、糞便中に排出される多包条虫に特異的な抗原を検出できる方法を開発しています。
●エキノコックス症の治療(キツネの場合)●
駆虫薬プラジクアンテルを投与するのが有効的とされています。
もし、多包条虫が体内にいれば、糞として対外に排出され、と同時に虫卵も排出されます。
投薬後の糞の取り扱いや、焼却処分する等の徹底した処理が必要です。
現在のところ、殺卵作用のある駆虫薬は開発されていません。

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